大関取り際しては御存じのように、三役で3場所合計33勝以上大関昇進の目安と言われております。
なお、これはあくまでもマスコミの間での話であり相撲協会はそれを認めておりませんが、この目安は一般にも常識となっているのが現状です。


今回、私が過去の資料から綱取りを調べてデータ化していく過程において、一つの仮説が生まれました。

それが、12勝準優勝の大関が直近4場所で合計44勝以上の場合は綱取り起点の目安となりうるという事です。

勿論、これは私が勝手に提唱してるだけであり、相撲協会やマスコミとは何ら関係ない言葉遊びや暴論の部類の話でありますので興味ある人だけ見て下さい。

データの検索に際し、相撲レファレンス様のホームページからまとめた資料が以下になります。


12勝準優勝

なお、事前に「既に先場所からの綱取りの場合」、「貴乃花以降の連続優勝原則の時代」、「北の湖元理事長による13勝論の時代」は省いております。



以前より、数場所好成績を続けた場合には12勝準優勝でも綱取り起点となりうると説明を行いましたが、こうやって数値化するとだいたいの目安が4場所44勝以上と言う事が分かります。

順に詳しく説明していきましょう。


あらかじめに言っておきますと、昭和の時代においては今のように大関入ってすぐは綱取りが辛目になるという事も無く、大関で12勝次点となると潜在的な綱取りと見なされていたようです。
実際にこれは当時の相撲雑誌でも12勝次点の翌場所後において、「優勝していたら横綱の声がかかっていたかも」というような表現を数多く目にしました。

そういった潜在的な綱取りを省き、正式に綱取り起点となった事例を、場所前にあらかじめ優勝した場合には横綱問題が起こると言われた実質綱取り起点をとしました。



こうしてデータに起こして見てみると、いろいろとある程度の規則性を持って綱取りも運用されている事が分かります。

第一に、44勝以上の星1差で綱取りとなっている点
第二に、44勝以上の星2差で実質綱取りとなっている点
第三に、星3差だと44勝以上でも綱取りと認められない事が多い点

第一の点においては44勝以上の綱取りに合致しない事例として北の富士の39勝と若嶋津の43勝の2例がありますが
北の富士の場合は玉乃島とのダブル綱取りの話題性の為に甘めの綱取りと認められたため
若嶋津の場合はこの前年において14勝優勝―9勝―15勝優勝―11勝と非常に惜しい成績を残していた事が記憶に新しいためと思われます。

第二の点においては優勝と2差ついている為に綱取りとはしずらいが、成績次第では翌場所に昇進の可能性も有るという心理が働いた結果なのでしょう。
実際に稀勢の里の事例がまさにそのような状況での実質綱取り起点からの横綱昇進となっております。
他の事例では北勝海は「かなり厳しいが優勝すれば横綱の声もかかるかもしれない」と言われ、旭富士は一般的に「七度目の正直」と言われている綱取りのカウントに入ってはいないが当時の雑誌では綱取りの様に扱われ、
北天佑は綱取りと騒がれなかったものの、相撲本「大相撲名力士100列伝」内における綱取りチャンスとの記述をソースとして、これらの事例を実質綱取りと致しました。

第三の点においては44勝以上であってもさすがに優勝と3差離されては実質綱取りすらもしずらい成績という認識でよいと思われます。
なお、3差であっても若乃花玉乃島の事例では綱取りとなっておりますが
若乃花の場合はこの場所で全勝優勝した玉乃海が前頭14枚目であり、今のように好調な平幕がいた際には割を崩して横綱や大関を当てるような事は無く、実際に玉乃海が対戦した三役以上の力士は小結・若羽黒と関脇・時津山の二人だけで横綱大関との取組が無かったために若乃花のこの3差次点でも綱取りが認められたようです。
玉乃島の場合はこの年に11勝次点―12勝次点―12勝次点―13勝優勝の通常なら横綱間違いなしの成績を上げて相撲協会より横綱審議委員会に諮問されるもまさかの見送りとなった、その同情論が働いていたようであります。
実際に若乃花は翌場所に13勝優勝で昇進、玉乃島は翌場所に12勝次点で横審の議論となるも星足らずの理由で見送られております。


また、照ノ富士12勝同点での実質綱取りは、13勝論の北の湖理事長が12勝ながら同点となった事による苦肉の策として認めたため、平成に入って12勝準優勝でも実質とはいえ綱取り起点となりうる契機となった事例であります。



如何でしょうか。もはや暴論の粋であるとは思いますが、この4場所44勝説と星の差による綱取り起点の違い。
個人的にはこうやってデータ化しても、相撲協会によって簡単にひっくり返されそうな気がしないでもありません。

というのも、12勝次点を起点として翌場所に優勝した事例は12勝次点―13勝優勝若乃花玉乃島北の富士12勝次点―全勝優勝武蔵丸12勝次点―14勝優勝稀勢の里の計5例だけであり
このうち若乃花稀勢の里は昇進、玉乃島北の富士は諮問されるも横審による昇進見送り、武蔵丸においては「綱取りは優勝が起点」と言われた二場所連続優勝が原則の時代のため綱取り自体が無し。

このように、連続優勝の時代以外である5例中4例はすべて相撲協会がGOサインを出しているのであります。

なので、12勝次点で一切綱取りを騒がれていない状態でも、翌場所の優勝によって一気に横綱昇進となるような事が今後起こってもまったく不思議では無いのであります。

ここまで、こうやってデータを作って見せて長々と説明してきましたが結論からいうと、12勝準優勝は翌場所の優勝によって昇進の可能性を持つ「潜在的な綱取り」と見なしてもよいのかもしれません。