今回からは横綱昇進基準における二場所の成績であと1勝の星の上積みがあれば昇進議論が起こったかもしれないという成績を出した横綱になれなかった大関を紹介します。

もちろん。あと1勝したとしても、その1勝をする事によってその後の取組や相撲内容、他の力士の対応も変わったはずなので
これはあくまでも「データ上」での事ということを念頭に読んで下さい。


魁皇の場合

横綱になり損ねた大関として話題に上がる時に１、２を争うであろう人物が魁皇でしょう。
彼の成績では２度、あと1勝という所まで横綱に迫った成績が存在します。

その１

2004年7月場所　11勝
2004年9月場所　13勝優勝

五回目の優勝となる2004年9月場所ですが、実はその前の7月場所では千秋楽結びの一番において1差で追う横綱朝青龍との直接対決に勝利すれば、その朝青龍と並んで12勝となり優勝決定戦へと進める自力優勝の可能性を持っていました。
もしこの千秋楽の朝青龍戦で勝つという1勝の上積みがあれば、優勝決定戦で負けたとしても12勝同点―13勝優勝となりますので
13勝優勝の時点で五回目の優勝という事を加味すれば横綱に昇進していた可能性があります。


その２

2004年9月場所　13勝優勝
2004年11月場所　12勝次点

次のチャンスはその１の翌場所に訪れます。
もっとも、これは以前に何度か紹介してますとおり11月場所の千秋楽結びの一番、横綱朝青龍に勝利し12勝次点となった段階で実際に横綱昇進が議論されましたが、残念ながら見送られる事となります。
もし、この11月場所で1勝の上積みがあり13勝となっていれば朝青龍と並んで優勝決定戦へ進んでおり、負けたとしても13勝優勝―13勝同点となって間違いなく横綱に昇進していた事でしょう。

魁皇の2004年の下半期である7月場所から11月場所までは11勝―13勝優勝―12勝次点と、まさに横綱にあと１歩まで近づいていたわけであります。


栃東の場合

2006年1月場所　14勝優勝
2006年3月場所　12勝

魁皇と同時期の大関として活躍した栃東ですが、彼の場合は三回目の優勝時の綱取りが非常に惜しかったです。
14勝優勝の翌場所、当時の北の湖理事長は横綱昇進の条件を優勝関係無しの「13勝」と設定しておりましたが結果は残念ながら1勝足らずの12勝でした。
ちなみにこの場所では13勝優勝の朝青龍・13勝同点の白鵬に次ぐ三位の成績でしたが、栃東はこの13勝を上げた朝青龍・白鵬の二人に勝利しており
あと1勝の上積みがあれば優勝決定巴戦で負けたとしても14勝優勝―13勝同点となって北の湖理事長の条件である13勝をクリアする事となり横綱に昇進していた事でしょう。


若嶋津の場合

大関昇進からの２年間は横綱も近いのではという好成績を出していた若嶋津ですが、彼の場合も２回の優勝に絡んだ二場所であと1勝あれば昇進議論があり得たかもしれない成績が２度ありました。

その１

1984年1月場所　11勝
1984年3月場所　14勝優勝

1984年1月場所、この時は千秋楽結びの一番において千代の富士・隆の里の両横綱による相星決戦があり、13勝で優勝したのが同部屋の横綱・隆の里、負けて12勝次点となったのが横綱・千代の富士であり、若嶋津は11勝三位の成績でした。
もしこの場所、13日目の横綱千代の富士戦で若嶋津が勝利し、1勝の上積みが成されていれば千秋楽結びの一番である横綱対決の結果次第では優勝決定巴戦まで行ける可能性を持っていた12勝次点となります。
しかも直近4場所の成績は13勝次点―11勝―13勝―11勝と好成績を連続しており、ここで12勝次点ならば当時としては翌場所が綱取りとなっていた可能性は大いにあります。